ARCHIVE

月刊ヘインズ

ファッションスタイリストが語る、デイリーユースのみではない、ヘインズの多彩な魅力とは…!?[後編]

後編:小野田さんが見るTシャツの今

アメカジのみならず幅広いフィールドでご活躍の、スタイリストの小野田さんをお迎えし、
ヘインズと映画スターたちの関係性が映し出された、前編

後編では、スタイリストとしてご活躍中の小野田さんが見る、Tシャツスタイルの「今」を語っていただきました!

小野田 史(おのだ ひとし)さん
STYLIST PROFILE
小野田 史(おのだ ひとし)さん

1976年生まれ。ライター、編集アシスタントからキャリアをスタートし、その後はフリーランスのファッションエディターとして、クロージング、モード、カジュアルの着付けから文筆まで総合的に手掛ける。スタイリストに転向後は、メンズファッション誌や広告を中心に、俳優、タレント、ミュージシャンらのスタイリングを担当する。著書に『ファッションデザイナーの仕事がわかる本』(ソシム刊)がある。

Webサイト:http://www.onodahitoshi.com

Tシャツファッションへのエントリーブランドとしても最適なヘインズ

前回の対談では、映画スターに関する興味深いお話をありがとうございました! 一方で、今もTシャツの定番として愛用者の多いヘインズですが、「今」のヘインズの強みは何だとお考えになりますか?

小野田さん

ヘインズの強みのひとつは、エントリーブランドとして強いところだと思います。日本には、確実にヘインズというブランドが根付いていますよね。僕も中学時代、ファッションに目覚め始めた頃、ヘインズのTシャツはファッションへの入り口でした。
ブレない王道ブランドとして、今の若い世代にも、ファッションに興味を持ち始める最初のブランドとして知ってもらえたらいいなと思っているんです。やはり、Tシャツといえばヘインズなしには語れませんから。

小野田さんも、最初はヘインズだったんですね!

小野田さん

先程お話ししたように、実は撮影のためだけでなく、自分で着るためにも、ヘインズのTシャツをたくさん集めているんです。現行品もいいのですが、やはり昔のアーカイブにも詳しくなりたいし、興味があって。デッドストックのみでなく、市場に出回ることのない「イレギュラー」表示のものなど・・・古着店で買い集めることが多いのですが、「今買わなければもう出会えないかも!」と思ったら、買って後悔したほうがいい!と腹をくくります(笑)。先日は3枚で2万円近くもするパックTシャツのデッドストックを、迷いに迷いましたが買ってしまいました。でも、後悔しませんでした。

へぇ~!私も古着屋さんだったりネットオークションを拝見しますが、高値で取引きされていますよね。でも、確かに逸品ほど、一度逃したら、なかなかまた出会うことって難しい。

小野田さん

そうなんです。でもやっぱり、いいものは欲しい。
僕の場合、Tシャツを追求するあまり、さらにノースリーブにも挑戦して、自分でも驚きましたが・・・(笑)
街ではなかなか難易度の高い組み合わせだとは思うのですが、「アウトサイダー」のマット・ディロンらの着こなしに影響を受けて、カッコイイなと思ったんです。そのままではないのですが、ヘインズのノースリーブにブラックジーンズ、インディアンジュエリー、レザーベストというスタイルは、周りの先輩から「わかってるじゃん!」と言われて・・・やはり東京でつくられてきたスタイルが宿っているからこそなのだろうなぁと感じたエピソードです。

「Tシャツといえばマット・ディロン」と小野田さん

そこまで徹底的に、コーディネートアイテムとしてのヘインズの魅力を掘り下げて頂くと、
ただただ感謝・・・ですね。

「今」のTシャツファッションに関して

今の若い世代のTシャツファッションに関して、どうお考えになりますか?

小野田さん

Tシャツひとつで多様に遊ぶ時代。これに尽きますね。
今の若い世代の子は、小さいサイズはぴったりと着るし、大きいサイズもダボっとうまく着こなす。そんな自由な柔軟性を持っています。今はファスト・ファッションに注目が集まっていて、これに関しても賛否両論はありますが、まだまだファッションというフィールドには、人々を行列させるだけのパワーがあるのだ!と思わせられます。ファッションに携わる者としては、これまでファッションへの関心を開拓できていなかったのだなと感じるべきだという思いもあります。

確かに、ファッションの多様化をきっかけに、もっと深いファッションにも関心が広がるとおもしろいですね。アイテムに着目すると、今最も注目しているTシャツアイテムはどんなものですか?

小野田さん

首周りが広めにあく、Uネックの薄手のTシャツは、まさに今のトレンドですよね。個人的には、実際にこれを販売していたヘインズで復刻する機会があれば、僕はとっても嬉しい。当時のタグも雰囲気がありますよね。

確かに、ブランドの大きなテーマとして、「よりヘインズらしいものを」「ヘインズの存在意義を」など、歴史あるブランドだからこそ根っこの部分は大切にしていきたいと考えています。そのひとつの選択肢として、取り組む価値はあるかもしれませんね。

小野田さん

そして今、日本は"アメカジ"を牽引しているんです。アイテムの着こなしは、日本がアレンジして発信したほうがおもしろいものができてきている。アメリカでは「機能」重視の着こなしなので、基本に忠実な日本ならではの「ファッションとしてのアメカジ」は、現地アメリカは無論、ヨーロッパではモードからクロージング系のデザイナーの関心の対象にさえなっているんです。

日本が牽引するアメカジ。おもしろいですね。アメリカ人、それもハイブランドに携わるデザイナーからの関心が高いとは。

小野田さん

そうなんです。だからこそ、ファスト・ファッションをきっかけにファッションに興味を持ち始めた若い世代を、もっと育てていくファッションのフィールドを僕たちが整えていきたいなと思います。
ヘインズさん、是非その役目の一端を担ってくださいね!

ヘインズは、モードのカラーを持つブランド
小野田さん

他にも、実は、ヘインズにまつわる、こんなエピソードがあるんです。
ヘインズを着ていて、スタイリストやデザイナーの友人から「どこのハイブランドのTシャツを着ているの?」と言われることがあるんです。

そうなんですか! 日常着としてのヘインズとは対極にあるような、意外な評価をいただいていますね。

小野田さん

それでもヘインズは、揺らぎないブランドを確立していますよね。いろいろな顔を持っているにも関わらず、どんなシーンでも、ヘインズはヘインズ。キャパシティは計り知れないなと思うんです。どんな雑誌に取り上げられてもマッチするブランドって、そうそうないとも思います。

なるほど! 数あるブランドの中でも、ヘインズのアイデンティティのひとつとして、「どんなシーンにもどんな人にもマッチする」ということが挙げられるんですね。

小野田さん

そう、だから、どんな方向に進化しても、僕は「カッコイイな」と思うんです。今後、たとえば「大人のヘインズ」として、ラグジュアリー感のある「究極のTシャツ」を提案してもカッコイイなと思います。ヘインズは先に述べたように、「どこのラグジュアリーブランド?」と聞かれるほどの技術やポテンシャルがあるということだと思うんですよ。
これからのヘインズ、今まで以上に期待しています!

ありがとうございます!!

日常着のみならず、いろいろな顔を持つことがわかるエピソードをたくさん伺うことができた、今回の対談。ぜひ皆さんも、いろいろなヘインズを感じて、ファッションに取り入れてみてくださいね!

前編:「小野田さんとヘインズ」はこちら

Hanes 月刊ヘインズ